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2010年09月06日

過払い金の首位的請求

第1 主位的請求について
1 請求原因1及び2(1),(2)の事実は当事者間に争いがなく,超過利息は当然
に元本に充当されるから,昭和60年6月26日の弁済によって元利金の弁済
は終了し,かつ,3024円の遅延損害金が発生し,以後の弁済がすべて過払
金となる(このことは計算上明らかである。)。
2 それら過払い金に係る不当利得返還請求権については,当裁判所も時効により
消滅したと判断するが,その理由は,原判決書「事実及び理由」中の「第3
争点に対する判断」「1 争点(1)(消滅時効)について」に記載のとおりで
あるからこれを引用する。
第2 予備的請求について
1 貸金業法が施行されたのは昭和58年11月1日であり,本件取引開始時に
おいて,貸金業法はいまだ施行されておらず,かつ,同法附則6条1項は,貸
金業者がこの法律の施行前に業として行った金銭を目的とする消費貸借上の利
息の契約に基づき,この法律の施行後に,債務者が利息として金銭を支払った
ときは,当該支払については,第43条第1項及び第2項の規定(みなし弁済
の規定)は,適用されないとしているから,貸金業法が本件取引に適用される
余地はない。
したがって,本件取引において,超過利息の支払が貸金業法により有効な利
息の債務の弁済とみなされる余地は全くなかった。
2 ところが,甲第1及び第2号証によれば,被控訴人は,本件取引開始当初は,
年利にして47.45パーセント,昭和59年11月28日以降は,元利金が
完済された昭和60年6月以降も,年利にして39.5パーセントもの違法な
利率で計算された利息の支払を求め,その利息の支払を受領していたこと,約
定利率は,最終弁済がされた平成2年9月当初においても年利にして36パー
セントを超える高利であったことが明らかである。
3 利息制限法の各規定が強行規定であることは,その体裁上明らかであり,貸
金業者である被控訴人は,当然そのことを認識していたと認められる。また,
利息制限法1条2項及び4条2項に関し,判例(最判昭和39年11月18日
民集18巻9号1868頁及び最判昭和43年11月13日民集22巻12号
2526頁)が,同法所定の上限利率を超える利息及び損害金が支払われた場
合に,その超過利息等は元本に充当され,元本が完済された後に支払われた弁
済金については,不当利得として返還を求めることができるとの規範を採用し,
それが法規範として通用していることも貸金業者にとっては公知の事実である
と認められる。
そして,本件取引には貸金業法が適用されないこと(これも,被控訴人は当
然に認識していたというべきである。)に照らせば,被控訴人が,本件取引に
おいて,支払われた超過利息を利息ないし損害金として適法に保持する余地は
なく,適法な営業を前提とする限り,残元本があれば超過利息は元本に充当し,
元本完済後の弁済金は不当利得とする以外の計算を行うことは,およそ観念で
きなかったのである。
したがって,被控訴人は,本件取引にあっては,超過利息が支払われても,
それを利息制限法所定の利率に引き直して債権管理を行うべきであったといわ
ざるをえない。そうすると,被控訴人は,法人としては,元本完済後の弁済金
(本件取引にあっては昭和60年6月26日以降の弁済)についても,不当利
得として返還せざるを得ないものであることも認識し,あるいは当然に認識す
べきであったといえる。
しかるに,被控訴人は,原判決別紙取引履歴一覧表記載のとおり,元本完済
後も約定利率に従った利息の支払を求め,超過利息を受領し続けていた。債務
者が,元本が完済されているのに,なお弁済として金員を支払おうとする場合
は,元本の完済を認識していないと考えるのが通常であるし,それが利息制限
法等の法令に通暁していないことに起因することもまた明らかである。
以上によれば,被控訴人がした過払い金となる弁済金の受領行為は,債務者で
ある控訴人の無知に乗じ,適法に保持し得ない金員を収受するものというべき
であるから,社会的相当性を欠く違法な行為といわざるを得ず,民法709条
所定の不法行為を構成する。
4 上記不法行為によって,控訴人に生じた損害は,昭和60年6月26日の弁
済金のうち3024円及び同年7月30日から平成2年9月6日までの弁済金
全部の合計79万4973円である。
5 本件不法行為に基づく損害賠償債権は発生と同時に遅滞に陥るから,被控訴
人は,上記各損害の発生の日(各弁済日)以降民法所定の年5分の割合による
遅延損害金の支払義務を負う。その遅延損害金の平成2年9月6日までの累計
額は,別紙損害金計算表のとおり11万9263円となる。
6 以上のとおり,予備的請求は,損害賠償金79万4973円,平成2年9月
6日までの遅延損害金11万9263円及び翌9月7日から損害賠償金完済ま
で年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由がある。  


Posted by ミカ at 15:03Comments(0)

2010年08月26日

継続的な金銭消費貸借取引に係る弁済金

1 本件は,上告人が,被上告人に対し,基本契約に基づく継続的な金銭消費貸
借取引に係る弁済金のうち利息制限法(平成18年法律第115号による改正前の
もの)1条1項所定の利息の制限額を超えて利息として支払われた部分を元本に充
当すると,過払い金が発生していると主張して,不当利得返還請求権に基づき,その支払を求める事案である。
被上告人は,上記不当利得返還請求権の一部について
は,過払いの発生時から10年が経過し,消滅時効が完成したと主張してこれを争
っている。
2 原審の適法に確定した事実関係の概要等は,次のとおりである。
(1) 被上告人は,貸金業の規制等に関する法律(平成18年法律第115号に
より法律の題名が貸金業法と改められた。)3条所定の登録を受けた貸金業者である。
(2) 上告人は,遅くとも昭和54年1月18日までに,被上告人との間で,継
続的に金銭の借入れとその弁済が繰り返される金銭消費貸借に係る基本契約(以下
「本件基本契約」という。)を締結した。
上告人と被上告人は,同日から平成18年10月3日までの間,本件基本契約に
基づき,第1審判決別紙1「原告主張書面」添付の計算書の「借入額」欄及び「返
済額」欄記載のとおり,継続的な金銭消費貸借取引を行った(以下「本件取引」と
いう。)。
(3) 本件取引における弁済は,各貸付けごとに個別的な対応関係をもって行わ
れることが予定されているものではなく,本件基本契約に基づく借入金の全体に対
して行われるものであり,本件基本契約は,過払いが発生した場合にはこれをその
後に発生する新たな借入金債務に充当する旨の合意(以下「過払金充当合意」とい
う。)を含むものであった。
過払金充当合意に基づき,本件取引により発生した過払金を新たな借入金債務に
充当した結果は,原判決別紙「利息制限法に基づく法定金利計算書」記載のとおり
であり,最終取引日である平成18年10月3日における過払金は633万277
2円,同日までに発生した民法704条所定の利息は2万6026円である。
(4) 上告人は,平成19年1月11日に本件訴えを提起した。被上告人は,平
成9年1月10日以前の弁済によって発生した過払金に係る不当利得返還請求権に
ついては,過払金の発生時から10年が経過し,消滅時効が完成していると主張し
て,これを援用した。  


Posted by ミカ at 16:34Comments(0)

2010年08月20日

消費者ローン債権

第1 請求
被告は原告に対し,金435万3405円及び内金352万4853円に対
する平成18年9月12日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
第2 事案の概要
本件は,いずれも貸金業者である株式会社A及びAを吸収合併した被告との
間で別紙1の計算書1記載のとおり,株式会社B及び被告との間で別紙1の計
算書2記載のとおり,借入れと返済を繰り返し,利息制限法の制限利息を上回
る金利を支払ってきた原告が,同制限利息を上回る金利の支払を元本充当する
と過払いになっていると主張するとともに,被告はBの過払金返還債務を承継し
たと主張して,被告に対し,民法704条前段の不当利得返還請求権に基づき,
別紙1の計算書1及び計算書2記載の計算により,過払元金及び確定利息並び
に過払元金に対する最終取引日の翌日から支払済みまで民法所定年5分の割合
による利息の支払を求めた事案である。
1 争いのない事実等
以下の事実は,当事者間に争いがないか,弁論の全趣旨及び括弧内の証拠に
より認められる。
(1) 被告は,平成15年1月1日にAを吸収合併した貸金業の登録業者であ
る。
(2) 原告は,平成6年10月11日から平成18年9月11日までの間,貸
主A及び被告との間において,基本契約に基づき,利息制限法所定の利率
を上回る金利で,別紙1の計算書1記載の「年月日」欄記載の日に,「借
入金」欄及び「返済金」欄記載の借入れ及び返済を繰り返す金銭消費貸借
取引を行ってきた。
(3) 被告とBは,平成14年3月29日,顧客に対するBの消費者ローン債
権(以下「本件消費者ローン債権」という。)等の資産を包括的に被告に
対し売却する旨の資産譲渡契約(以下「本件契約」という。)を締結し,
本件契約は同年5月2日実行された(乙1,2)。
(4) 原告は,平成2年10月11日から平成14年4月11日まで貸主Bと
の間において,その後引き続いて平成14年5月13日から平成18年9
月11日まで貸主被告との間において,利息制限法所定の利率を上回る金
利で,別紙1の計算書2記載の「年月日」欄記載の日に,「借入金」欄及
び「返済金」欄記載の借入れ及び返済を繰り返す継続的金銭消費貸借取引
(消費者ローン契約)を行ってきた。  


Posted by ミカ at 13:23Comments(0)

2010年06月16日

損害賠償請求控訴事件

 1 本件は,1審原告と1審被告(ただし,本件訴訟の提起当時の被告はa町の
みであったが,平成15年4月1日付けでb町及びc町と合併して現在の1審被告
となった。)とが1審被告所有地(d干拓地。以下「本件干拓地」という。)への
土砂の搬入に関する契約を締結したところ,1審被告の債務不履行によって土砂の
搬入ができず,損害を被ったと主張する1審原告が,1審被告に対し,損害賠償請
求をした事案である(なお,1審原告は,原審において,総損害額を21億301
7万9134円と主張し,その一部である18億6453万5133円の支払を求
めていたが,当審において,総損害額を19億1509万7394円と主張し,同
額の支払を求めてその請求を拡張した。)。
   その余の事案の概要は,原判決「事実及び理由」の「第2 事案の概要」欄
に記載のとおりであるから,これを引用する(ただし,原判決15頁3行目の「主
張が」を「主張するが」に,16頁7行目の「⑳損益相殺に主張について」を「⑳
損益相殺の主張について」に,18頁末行の「である」を「である。」にそれぞれ
改める。また,1審原告は,当審において請求を拡張しており,損害額に関する主
張で,当審において変更された部分は引用しない。)。
   原審は,1審被告の債務不履行を認め,1審原告の請求の一部(請求額18
億6453万5133円,認容額1億0951万9912円)を認容した。
   これを不服として双方から提起されたのが,本件控訴事件である。
 2 当審における争点は,原審とほぼ同様であって,次のとおりである。
  (1) 1審被告の債務不履行の有無
   ア 本件契約の成立時期
   イ 本件契約における1審被告の義務
   ウ 搬入開始時期の遅延の有無
   エ 搬入開始時期遅延についての1審被告の帰責性の有無
  (2) 1審原告の損害の有無及びその額
 3 当審における当事者の主張
  (1審原告)
  (1) 争点(1)について
   ア 1審被告に,その不履行により損害賠償義務を発生させる法的な搬入土
砂の受入義務があることは明らかである。
     すなわち,本件契約の履行のためには,①膨大な量の公共残土の確保,
②土質の適合性を確保するための中間処理事業の免許取得とリサイクル・プラント
の設置,③土質の適合性チェックのための視察の受入れ,④1審被告の要請による
1審原告の結成,⑤ポンツーン(陸揚施設)整備費,保証金及び追加工事費など多
額の出費,⑥ポンツーンの設置,⑦1審被告に対する土地利用料の支払約束,など
の準備が必要であり,1審原告は,相当な時間と費用を費やさなければならないの
である。このような契約において,1審被告に本件干拓地への土砂搬入受入れの履
行を強制できないとすれば,1審原告に極めて過酷な負担を課すことになるのは明
白であり,1審被告もこれを承知していたものである。
   イ 搬入開始時期について,1審原告と1審被告とは平成4年度と合意して
おり,したがって,1審被告の債務不履行は平成5年4月1日に始まったことにな
る。
     すなわち,搬入開始時期について,1審原告と1審被告は,すでに平成
4年11月時点で,平成4年度とすることに合意していた。本件契約書(甲1)が
作成されたのは平成6年6月15日であるが,同書面の作成日付が平成4年12月
25日とされているのも,その時点で本件契約の主要部分が成立していたからであ
る。本件契約書の作成が遅れたのは,1審被告が本件契約書の草案作成に手間取っ
たこととポンツーンの所有権の帰属をめぐって争いがあったことによる。1審被告
は,他の搬入業者との契約について平成4年12月25日に成立したことを認めて
いるが,その契約書も実際には平成5年9月28日と契約成立よりのちに作成され
ている。そして,1審原告は,搬入開始時期が平成4年度であることを前提とし
て,保証金等1億円もの支払をし,その使途の変更にも応じているのである。ま
た,1審被告は,書面をもって,度々1審原告に土砂搬入の延期を要請している
が,それも,搬入開始時期が平成4年度と合意されていたからこそされたものであ
る。このように搬入開始時期を平成4年度とすることは,平成4年12月25日に
合意が成立していたのであるから,本件契約書の記載の意思解釈も平成4年12月
25日を基準にされるべきであって,本件契約書が実際に作成された平成6年6月
15日を基準にすべきではない。 1審被告は,本件契約書記載の搬入開始時期
(平成4年度)は一応の目安にすぎないと主張する。
     しかし,1審原告は,平成4年度の搬入開始に向けて,公共残土の確
保,保証金,ポンツーン設置のための費用の納入等の準備を行い,実際にも平成4
年11月には1審被告から1審原告ら搬入業者に対し土砂受入れが受諾され,平成
5年3月にはポンツーンが建造され,同年6月には完成するなど,平成5年3月こ
ろの土砂搬入開始に向けて準備が整えられていたのである。このようなことからす
れば,平成4年度という搬入開始時期は一応の目安などであるはずがなく,一般の
契約同様,当事者を拘束する法的効力を有するものであるといわざるを得ない。
   ウ 1審原告は,1審被告に対し,搬入土砂受入義務の履行を猶予したこと
はない。
     本件契約書(甲1),1審被告と他の搬入業者との契約書のいずれも,
Aの撤退表明後に作成されているが,いずれも搬入開始時期は平成4年度とされて
いる。すなわち,Aの撤退によって,搬入開始時期の変更合意をしたことはない
し,実際にもAの撤退は,搬入開始時期に影響を与えるものではなかったから,搬
入開始時期延期の理由にはならない。
     1審被告は,1審原告に対し,平成5年9月28日付け文書をもって,
搬入時期の延期の要請をしているが,同文書は,無期限に延期を求めるものではな
いし,また,1審原告がこれを承諾したことはない。1審原告は,当時いつでも土
砂搬入を開始できるよう準備していたが,搬入開始が多少遅れても土砂の搬入が実
現できるのであれば,1審被告に対して法的責任を追及するまでのことはないと考
えて,事実上土砂の搬入を差し控えることにしたにすぎないのであって,搬入開始
時期延期の合意などはしていない。
     1審原告は,平成6年3月26日に開催された土砂搬入会議において
も,地元住民の同意が得られるまで搬入開始時期を延期することに同意などしてい
ない。同会議において「土砂の搬入は,防塵対策等周辺の対策完了後とする」とさ
れているのは,土砂搬入前に防塵対策等の周辺対策が立案されていなければならな
いことを確認した趣旨にすぎない。
   エ 1審被告の債務不履行
    (ア) 1審被告は,本件契約に定める搬入開始時期に搬入土砂受入義務を
履行しなかったのであるから,1審被告の債務不履行は明らかである。
    (イ) 1審被告は,本件干拓地への土砂搬入について,地元住民らの同意
取付け義務が1審原告に課されており,これが履行されない限り,本件干拓地への
土砂搬入を受け入れることはできないから,履行遅滞の責を負わないと主張する。
       しかし,本件契約上,地元住民らの同意取付け義務については何ら
の規定もなく,したがって,1審原告,1審被告のいずれにも課されていない。1
審被告は,地元住民らの同意について,法律上の義務はなく,行政の立場として,
地元住民らを尊重する意味において,同意が必要であるとしている。実際にも,1
審被告は,平成6年7月27日,地元住民らの同意のないまま,1審原告ら搬入業
者に搬入開始を指示し,同年8月1日,B,Cの共同体に土砂搬入を行わせてい
る。このように1審被告の行政責任はともかく,本件契約上は同意取付け義務は規
定されておらず,1審被告は,地元住民らの同意の有無にかかわらず,平成4年度
に履行する義務があったというべきである。
    (ウ) 仮に本件契約上同意取付け義務が認められるとしても,同義務は1
審被告に課されていたものである。
       aマリンリゾート構想,A撤退後のジョイフルアイランド構想を通
じて,1審被告は,これらの事業主体であった。また,本件干拓地への埋立事業に
ついては,Aの撤退の前後を通じて内容に変更はなく,その事業主体は継続して1
審被告であった。このように1審被告が事業主体である以上,地元住民らの同意取
付け義務が1審被告に課されるのは当然である。
       1審被告は,本件契約9条をもって,1審原告に地元住民らの同意
取付け義務があると主張するが,同条は,土砂の搬入業者としての1審原告に,土
質や搬入作業等の安全対策等を説明して1審被告に協力することを規定しているに
すぎず,事業内容を始め工事の施工に至るまでの説明は1審被告がすべきものであ
る。
    (エ) 1審被告は,地元住民らの同意が得られなかったのは,Aの撤退と
いう予想外の事態により事業内容が急変したこと,地元住民らの搬入土砂の安全性
に対する根強い不安に対し1審原告が説明義務を尽くさなかったことが原因である
として,1審被告には帰責性がないと主張するが,次のとおりいずれも理由がな
い。
       少なくとも,本件干拓地への埋立事業に限れば,事業主体は一貫し
て1審被告であり,事業内容にも変更はなかった。また,地元住民らは,ジョイフ
ルアイランド構想についての事業説明を強く希望していた。ところが,平成6年4
月30日,同年5月1日に開催された地元住民に対する説明会において,1審被告
が,地元住民らにジョイフルアイランド構想の事業説明を行うことなく,1審原告
ら搬入業者に工事説明を行わせようとしたため,地元住民らから「事業内容も分か
らないまま,搬入業者が工事説明に出てくるような段階ではない」と追い返され,
また,地元住民の1審被告に対する反発は強まった。同年7月26日に開催された
説明会においても,1審被告の前町長が土砂搬入には地元住民の同意は不要である
などと強弁した。さらに,1審被告は,同年8月1日,地元住民の同意がないま
ま,土砂の搬入を強行した。こうしたことから地元住民らの1審被告に対する反発
は高まるばかりで,1審被告に対する信頼も失われていった。そのため,平成7年
2月16日,18日,19日に開催された説明会においても,事業主体である1審
被告からの事業説明もないのに,工事説明を受ける段階ではないと,集まった地元
住民は1審原告ら搬入業者の説明を聞くまでもなく帰ってしまった。このような地
元説明会の経過からすれば,1審被告の帰責性は明らかである。
    (オ) 1審被告は,本件契約が継続的取引契約であると主張する。
       しかし,本件契約は,1回的な契約であり,1回的な債権債務が分
割して給付されるというにすぎず,基本契約と個別契約とに規律される継続的取引
契約とは性質を異にしている。したがって,本件契約には,継続的取引契約をめぐ
る法理論は妥当せず,本件契約が継続的取引契約であることを前提とする1審被告
の主張はいずれも失当である。
過払い金は請求しないと損。自分で支払った超過分を取り戻すのは当たり前。
  (2) 争点(2)について
   ア 1審原告が1審被告の債務不履行により被った損害額の内訳は次のとお
りであり,その根拠は次項以下のとおりである。
    ① 逸失利益       11億0200万0000円
    ② 支払済み契約保証金等  1億0951万9912円
    ③ 土砂移転費用        4545万1222円
    ④ 搬入土砂整地費用等   6億0812万6260円
    ⑤ 一般経費              5000万円
   イ 逸失利益
     本件契約上,1審原告の土砂の搬入量は「概ね350万立方メートルの
3分の1」とされている。本件契約は,本件干拓地の埋立てを目的とするものであ
るから,1審原告の土砂の搬入量が350万立方メートルの3分の1に達するか否
かにかかわらず,本件干拓地の埋立てが完了した時点で,土砂の搬入は終了するこ
とになり,土砂の搬入量は厳格に特定されていたわけではない。しかし,「概ね」
という表現は,本件契約の性質上不可避であったし,また,350万立方メートル
は本件埋立て完了に必要な土砂の量として認識されていたのであって,1審原告も
その3分の1を目途に準備をし,土砂を搬入することになっていたのであるから,
原審のように土砂の搬入量が確定していないからといって,搬入量がゼロの場合と
同様に損害を認めないというのは,あまりに過酷で非常識である。本件において
は,1審被告の債務不履行により1審原告に損害が発生したことは明らかである
が,本件契約の性質上,損害額を確定することが困難であり,民事訴訟法248条
が適用されるべき事案である。同条は,損害の性質によっては,損害が発生したこ
とが確実であるのに,損害額算定の根拠となる具体的事実を立証することが困難で
ある場合に,被害者が損害の填補を受けられないとすれば,衡平の理念に著しく反
することから,裁判所が相当な損害額を認定できる旨規定している。同条の趣旨に
従えば,350万立方メートルの3分の1である116万立方メートルを基礎にし
て損害額が認定されるのが相当というべきである。
     そして,1審原告は,公共残土1立方メートルを処分するにつき,Dか
ら2400円を受け取る一方,運送費用等で合計1450円(De町保管場所から
e港運送費用250円,e港からa町港海運費用800円,a町港から本件干拓地
荷役費用300円,土地使用料100円)の費用を要するため,1審原告の公共残
土1立方メートル当たりの純利益は950円となるから,逸失利益は11億020
0万円(950円×116万立方メートル)となる。
   ウ 支払済み契約保証金等
     1審原告は,平成4年12月15日,本件契約の保証金として,1審被
告に対して1億円を支払い,その他施設工事費等として,平成5年10月19日以
降E株式会社に対して663万6633円,平成7年11月28日F株式会社に対
して288万3279円をそれぞれ支払い,合計1億0951万9912円を支出
した。
   エ 土砂移転費用
     1審被告は,1審原告に対し,平成4年4月ころから公共残土の収集を
依頼していたため,1審原告は,Dに対し,公共残土の収集を依頼し,Dは,兵庫
県加古川土木事務所の発注により公共残土を収集し,高砂市の所有するe町の仮置
場を無償で借り受け,同仮置場に平成4年度は4万1400立方メートル,平成5
年度は2万5890立方メートルの合計6万7290立方メートルの公共残土を保
管していた。ところが,1審被告は1審原告が本件干拓地への土砂の搬入を認めな
かったため,高砂市は,Dに対し,同仮置場で保管していた土砂を移転し,同仮置
場を明け渡すよう求めた。このため,Dは,平成5年8月,上記土砂の移転作業を
行い,移転及び整地などの費用として,4545万1222円を支出したが,この
費用を1審原告が負担することになっているため,1審原告は同額の損失を被っ
た。
   オ 搬入土砂整地費用等
    (ア) 1審原告から公共残土の収集を依頼されたDは,公共残土を収集
し,自社の残土保管所に搬入して保管していたところ,1審被告が本件契約を履行
しないため,公共残土を搬出することができず,堆積していったため,残土保管所
のある高砂市から整地等を行うよう法令に基づいた行政指導があり,Dは,堆積す
る公共残土の整地等を余儀なくされた。
    (イ) Dは,兵庫県の自治体から公共残土を受け入れ始めた平成元年3月
から平成5年6月30日の1審被告によるポンツーン(陸揚施設)の完成日までの
52か月間に18万2532立方メートル,平成5年7月1日から平成9年3月3
1日(1審原告は,平成8年11月に本件契約を解除したが,その時点で同年度末
である平成9年3月31日までの公共残土受入れを兵庫県の自治体と合意していた
ため,この期間内に収集した残土は本件契約の期間内に収集されたものとみな
す。)までの45か月間に60万1120立方メートルの合計78万3652立方
メートル(以下「本件契約残土」という。)を収集した。Dは,平成7年2月から
平成14年5月末日までの88か月間をかけて本件契約残土を搬出処分した。
    (ウ) Dが,これらの公共残土の整地等,本件契約残土の搬出処分等に要
した費用は,別紙損害計算書のとおり24億8889万1060円であるところ,
Dは,公共残土の処分費用として自治体から1立方メートル当たり2700円,す
なわち本件契約残土を受け入れたことにより21億1586万0400円を受領し
たから,前記費用等の損害額は,この差額である3億7303万0660円とな
る。
       また,Dは,1審原告との間で,本件契約残土の処分費として1立
方メートル当たり2400円を1審原告に対して支払う旨の合意をしていたから,
本件契約残土の処分により1立方メートル当たり300円(2700円-2400
円)の利益を得ることができたにも関わらず,1審被告の債務不履行により,これ
を得ることができなくなった。その額は,2億3509万5600円である(30
0円×78万3652立方メートル)。なお,Dが残土収集のためにすべき作業
は,計量とふるいであるが,これに要する費用は極めて微々たるもので算定不可能
で,経済的合理性からすれば無視されるものである。
       Dが被った前記合計6億0812万6260円は,1審原告がDに
対して賠償すべき義務のあるものであり,最終的に1審原告の損害となる。
    (エ) 1審被告は,Dに生じた損害は,特別損害であると主張する。
       しかし,当初,本件土砂搬入は,Dが単独で行う予定であり,1審
被告の要請に応じて平成元年3月から本件干拓地用の公共残土の収集を開始し,1
審被告町長,助役,町議会議長らは,平成2年以降平成5年ころまで,1審原告設
立後も多数回にわたってDのリサイクル・プラント,土砂置場及び搬入土砂調達先
の視察に訪れた。これらの事情から,Dが本件干拓地用の公共残土を収集していた
事実を1審被告が認識していたことは明らかであるから,1審原告がDから逸失利
益の損害賠償請求を受けていることは,1審被告と1審原告との間においても,債
務不履行により通常発生する損害に当たる。仮に特別損害であるとしても,前記の
とおり1審被告に予見可能性があったことは明らかであるから,1審被告には賠償
する義務がある。
    (オ) 1審被告は,前記18万2532立方メートルの搬入土砂の整地費
用は債務不履行がなくとも発生したと主張する。
       しかし,1審被告が本件契約どおり土砂搬入を受け入れていれば,
本件干拓地へは,1か月平均10万立方メートルの搬入が可能であったのであるか
ら,前記搬入土砂であれば,1か月もあればすべて搬入可能であった。この間に追
加で土砂が収集されたとしても,その土砂はDの中間処理場に仮置きされることな
しに順次e港から直接搬出されることになっていたから,中間処理場に土砂が堆積
することはなかった。すなわち,1審被告の債務不履行がなければ,整地費用は不
要であったことは明らかである。
    (カ) 1審被告は,1審原告には,適宜残土を処分し,また,Dに残土の
収集を中止させるなどして,損害の発生をくい止める義務(損害軽減義務)がある
と主張する。
       しかし,1審原告は,1審被告から,繰り返し熱心に早期に搬入が
実現できることを通知され,あわせて土砂の確保を求められたために,土砂の搬入
に備え,土砂を処分することもできなかったし,Dに土砂の収集の中止を求めるこ
ともできなかったのであるから,1審被告の主張は認められない。
    (キ) 1審被告は,Dが収集した公共残土の土質について,本件契約の受
入基準を満たしているかどうか,すなわち,本件干拓地への搬入が可能かどうかが
不明であると主張する。
       しかし,1審原告は,1審被告による土質の視察を何度も受け入
れ,また,自主的にサンプル検査して,その結果に問題のないことを1審被告に報
告したこともある。さらに1審被告の職員が高砂市の仮置場から搬入土砂のサンプ
ルを持ち帰り土質検査をしている。こうした過程で1審被告から土質に問題がある
旨の指摘を受けたことはなく,1審原告が収集した土砂の土質は搬入可能なもので
あって,このことは1審被告の議会も認めていた。
       また,そもそも,本件契約上,土質のサンプル検査は,積出港(具
体的には,土砂の仮置場のあった高砂市のe港である。)において,土砂搬入のた
め積み出す際と定められていたところ,1審被告の債務不履行により,土砂の搬入
ができず,したがって積出しもできなかったことから,本件契約に基づくサンプル
検査は実施されなかったが,それは1審被告の債務不履行の結果であるから,1審
被告は,土質のサンプル検査が実施されていないとの理由で土砂搬入ができないと
主張することは信義則上許されないというべきである。  


Posted by ミカ at 13:22Comments(0)

2010年06月11日

有印私文書偽造

原判決及びその是認する第1審判決の認定並びに記録によれば,本件の事実関係は
,次のとおりである。
 被告人は,金員に窮し,支払督促制度を悪用して叔父の財産を不正に差し押さえ
,強制執行することなどにより金員を得ようと考え,被告人が叔父に対して600
0万円を超える立替金債権を有する旨内容虚偽の支払督促を申し立てた上,裁判所
から債務者とされた叔父あてに発送される支払督促正本及び仮執行宣言付支払督促
正本について,共犯者が叔父を装って郵便配達員から受け取ることで適式に送達さ
れたように外形を整え,叔父に督促異議申立ての機会を与えることなく支払督促の
効力を確定させようと企てた。そこで,共犯者において,2回にわたり,あらかじ
め被告人から連絡を受けた日時ころに叔父方付近で待ち受け,支払督促正本等の送
達に赴いた郵便配達員に対して,自ら叔父の氏名を名乗り出て受送達者本人である
ように装い,郵便配達員の求めに応じて郵便送達報告書の受領者の押印又は署名欄
に叔父の氏名を記載して郵便配達員に提出し,共犯者を受送達者本人であると誤信
した郵便配達員から支払督促正本等を受け取った。なお,被告人は,当初から叔父
あての支払督促正本等を何らかの用途に利用するつもりはなく速やかに廃棄する意
図であり,現に共犯者から当日中に受け取った支払督促正本はすぐに廃棄している。
 2 以上の事実関係の下では,【要旨1】郵便送達報告書の受領者の押印又は署
名欄に他人である受送達者本人の氏名を冒書する行為は,同人名義の受領書を偽造
したものとして,有印私文書偽造罪を構成すると解するのが相当であるから,被告
人に対して有印私文書偽造,同行使罪の成立を認めた原判決は,正当として是認で
きる。
過小評価された過払い金は論外。推定取引できちんと全てを請求する。
 他方,本件において,被告人は,前記のとおり,郵便配達員から正規の受送達者
を装って債務者あての支払督促正本等を受領することにより,送達が適式にされた
ものとして支払督促の効力を生じさせ,債務者から督促異議申立ての機会を奪った
まま支払督促の効力を確定させて,債務名義を取得して債務者の財産を差し押さえ
ようとしたものであって,受領した支払督促正本等はそのまま廃棄する意図であっ
た。【要旨2】このように,郵便配達員を欺いて交付を受けた支払督促正本等につ
いて,廃棄するだけで外に何らかの用途に利用,処分する意思がなかった場合には
,支払督促正本等に対する不法領得の意思を認めることはできないというべきであ
り,このことは,郵便配達員からの受領行為を財産的利得を得るための手段の一つ
として行ったときであっても異ならないと解するのが相当である。そうすると,被
告人に不法領得の意思が認められるとして詐欺罪の成立を認めた原判決は,法令の
解釈適用を誤ったものといわざるを得ない。
 しかしながら,本件事実中,有印私文書偽造,同行使罪の成立は認められる外,
第1審判決の認定判示したその余の各犯行の罪質,動機,態様,結果及びその量刑
などに照らすと,本件においては,上記法令の解釈適用の誤りを理由として原判決
を破棄しなければ著しく正義に反するものとは認められない。  


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2009年01月28日

ランチ☆

今日は同僚と久し振りにランチを一緒にしました☆

1週間もOracle研修に行っていたあいちゃん。DB部隊は大変そうだよね。

12時ぴったりにささっとお昼休みに入り、目的のレストランへ行きました。。

で、ランチ食べながらあいちゃんとバレンタインの相談・・・・

毎年めんどくさい話です・・・

日頃お世話になっている人にはあげたいけれど、そうするとあの人にも上げないととかどんどん膨らんで行っちゃうのが面倒なんですよね。。

あんなこんなであっと言う間に1時間経過。

そそくさとオフィスに戻りました。

明日はみなとみらい ネイルサロンでネイルです。

今回はどんなネイルにしようかなぁ。

バレンタインを意識したやつだけは避けねば。

きっとススめてくるでしょうけど・・・

だってそういう歳でもないですからね。

もうすぐアラフォーですから☆

言い過ぎか。  


Posted by ミカ at 15:27Comments(0)