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2010年06月11日

有印私文書偽造

原判決及びその是認する第1審判決の認定並びに記録によれば,本件の事実関係は
,次のとおりである。
 被告人は,金員に窮し,支払督促制度を悪用して叔父の財産を不正に差し押さえ
,強制執行することなどにより金員を得ようと考え,被告人が叔父に対して600
0万円を超える立替金債権を有する旨内容虚偽の支払督促を申し立てた上,裁判所
から債務者とされた叔父あてに発送される支払督促正本及び仮執行宣言付支払督促
正本について,共犯者が叔父を装って郵便配達員から受け取ることで適式に送達さ
れたように外形を整え,叔父に督促異議申立ての機会を与えることなく支払督促の
効力を確定させようと企てた。そこで,共犯者において,2回にわたり,あらかじ
め被告人から連絡を受けた日時ころに叔父方付近で待ち受け,支払督促正本等の送
達に赴いた郵便配達員に対して,自ら叔父の氏名を名乗り出て受送達者本人である
ように装い,郵便配達員の求めに応じて郵便送達報告書の受領者の押印又は署名欄
に叔父の氏名を記載して郵便配達員に提出し,共犯者を受送達者本人であると誤信
した郵便配達員から支払督促正本等を受け取った。なお,被告人は,当初から叔父
あての支払督促正本等を何らかの用途に利用するつもりはなく速やかに廃棄する意
図であり,現に共犯者から当日中に受け取った支払督促正本はすぐに廃棄している。
 2 以上の事実関係の下では,【要旨1】郵便送達報告書の受領者の押印又は署
名欄に他人である受送達者本人の氏名を冒書する行為は,同人名義の受領書を偽造
したものとして,有印私文書偽造罪を構成すると解するのが相当であるから,被告
人に対して有印私文書偽造,同行使罪の成立を認めた原判決は,正当として是認で
きる。
過小評価された過払い金は論外。推定取引できちんと全てを請求する。
 他方,本件において,被告人は,前記のとおり,郵便配達員から正規の受送達者
を装って債務者あての支払督促正本等を受領することにより,送達が適式にされた
ものとして支払督促の効力を生じさせ,債務者から督促異議申立ての機会を奪った
まま支払督促の効力を確定させて,債務名義を取得して債務者の財産を差し押さえ
ようとしたものであって,受領した支払督促正本等はそのまま廃棄する意図であっ
た。【要旨2】このように,郵便配達員を欺いて交付を受けた支払督促正本等につ
いて,廃棄するだけで外に何らかの用途に利用,処分する意思がなかった場合には
,支払督促正本等に対する不法領得の意思を認めることはできないというべきであ
り,このことは,郵便配達員からの受領行為を財産的利得を得るための手段の一つ
として行ったときであっても異ならないと解するのが相当である。そうすると,被
告人に不法領得の意思が認められるとして詐欺罪の成立を認めた原判決は,法令の
解釈適用を誤ったものといわざるを得ない。
 しかしながら,本件事実中,有印私文書偽造,同行使罪の成立は認められる外,
第1審判決の認定判示したその余の各犯行の罪質,動機,態様,結果及びその量刑
などに照らすと,本件においては,上記法令の解釈適用の誤りを理由として原判決
を破棄しなければ著しく正義に反するものとは認められない。  


Posted by ミカ at 16:58Comments(0)